Japan Impact Investment Taskforce / G8インパクト投資タスクフォース 日本国内諮問委員会

G8インパクト投資タスクフォース 日本国内諮問委員会

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2016年12月14日に国内諮問委員会第九回会合が日本財団にて行われました。

03 Feb 2017  

最初にGlobal Social Impact Investment Steering Group(旧G8社会的インパクト投資タスクフォース)MTGについて日本財団の工藤より報告がありました。GSGではワーキンググループを復活させる話題が出ており、国際協力、休眠資産、インパクトキャピタルホールセラー(社会的インパクト投資の中間組織)などのグループが発足予定です。各国の動向としては、イギリスでは休眠保険の調査に入っており1月には報告書が公開される見込みで、預金以外の休眠資産を社会的インパクト投資に活用する動きが出ています。また、ポルトガルでも休眠預金導入が検討されています。次回のGSG総会は7月10日、11日にシカゴで開催予定です。

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次に国際協力機構(以下、JICA)のマイクロファイナンスファンドについてJICAの民間連携事業部海外投融資課長の府川賢祐氏から発表がありました。民間企業が実施する開発効果が高い事業を支援していく海外投融資では①インフラ・成長加速、②SDGs・貧困削減、③気候変動対策の3つのターゲットを定めており、2011年から現在まで14件の出融資を行っています。今年の9月にBlueOrchard(スイス)が運営するファンド「JAPAN ASEAN Women Empowerment Fund 」にJICAと国際協力銀行(JBIC)が出資を行うことを発表しました。これはJICAやJBICがアンカー投資家となり、民間の機関投資家に参入を促し、基金はASEAN諸国を中心としたマイクロファイナンス機関に融資や投資、場合によってはメザニンファイナンスを行ことで同地域における女性のエンパワーメントに寄与する狙いがあります。

続いて上智大学の資産運用について上智大学特任教授兼上智学院 財務担当理事補佐IR推進室長の引間雅史氏から発表されました。日本の私立大は財務状況の悪化が進んでいることから、上智大学では自助努力として資産運用に力を入れています。資産運用で奨学金を賄う等、投資のインパクトと大学としてのインパクトのシナジーが強いことから、運用方法について活発に質問が上がりました。まだ日本では上智大学しか国連責任投資原則(PRI)に署名されていませんが、今後、日本の大学が社会的インパクト投資の担い手として可能性を感じられる事案として国内での展開が期待されます。

それから、7つの提言のうち①休眠預金活用、②ソーシャルインパクトボンドの推進、③社会的インパクト評価推進、④社会性認証制度の検討、の4つについて最新状況の報告と議論がなされました。

  1. 休眠預金活用について鵜尾委員より12月2日に「休眠預金活用法案」が成立したことが報告されました。法案自体は原案の通り承認されましたが、付帯決議があり、1点目は施行から5年後に法案の見直しがされること、2点目は情報公開に努めることです。このことから成果を出し、透明性ある情報公開を行わなければならないとの考えを示しました。
  2. ソーシャルインパクトボンドの推進状況については日本財団の藤田より説明がありました。厚労省では2017年度のモデル事業に向けて予算要求がなされ、2017年はいくつかの地域にてSIBが4件程度、案件組成に着手される予定です。また経済産業省の枠組みで推進しているヘルスケア案件では、事業内容は確定し、予算要求中です。
    新しいモデルケースとして、滋賀県東近江市では京都地域創造基金の深尾氏の提案にて「SIBの考え方を導入した成果連動型補助金」が導入されました。地域密着型で小規模かつリターンだけではなく共感に基づく社会的インパクトの意義があるモデルとして紹介されました。
  3. 社会的インパクト評価推進に関する最新状況について日本ファンドレイジング協会事務局長の鴨崎氏より説明がありました。 2020年までに日本で社会的インパクト評価を推進していくために必要な施策をまとめた「ロードマップ(設計図)」の作成を約30団体が参画して2016年8月から進めており、2017年2月の頭にパブリックコメントも反映させ発表する予定です。
    また、2016年6月に公表した「社会的インパクト評価のマニュアル」と「分野別ツールセット」についても公開後も引き続き研究を進めており、ブラッシュアップ版も発表していく予定です。
  4. 社会性認証制度の検討に関する最新状況についてケイスリー株式会社代表取締役の幸地正樹氏より説明がありました。経済産業省の取り組みで2016年7月末に「地域を支えるサービス事業主体のあり方に関する報告会」にて社会的利益と経済的利益を同時に追求するような事業体をどのように制度設計するかを検討されており、2017年3月末までに経産省から発表がある見込みです。ガバナンス、活動内容、資金供給者に対してのスキーム、社会性への担保などから調査研究が実施されています。
    また、Bコーポレーションに関する国内動向では、群馬県のシルクウェーブと神奈川県の石井造園に引き続き埼玉県の介護サービス業のフリージアが2016年11月に新たにBcorp認証(米国のNPO法人B Labが実施する社会的責任を果たす企業を認証する制度)を取得しました。今後、日本Bコーポレーション推進支援委員会は10社のBcorp認証を目指し、達成された場合はB Labの日本支社が設立され、英語で行われていた認証手続きが日本語へのカスタマイズや日本ならではの観点も組み入れた認証基準ができるなど柔軟な対応が可能となります。

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最後に、社会的インパクト投資現状レポートについて引き続きケイスリー株式会社代表取締役の幸地正樹氏より説明がありました。2016年9月29日に「社会的インパクト投資現状レポート2016」が公開されました。市場規模は、2014年の約169億円から2016年は約337億円と約2倍の成長が見られ、この主な成長理由は日本政策金融公庫のNPO向け融資112.4億円などをはじめとした既存案件がそれぞれ5億円以上成長していることや、新規で投融資を開始した案件が4件あることが上げられます。(社会的インパクト投資現状レポート2016 P38参照)

会合終了後は、会場内にて懇親会も開催され、懇親会の席では、参加者同士の活発な交流も行われ、盛会のうちに終了しました。2017年度も国内諮問委員会の会合は年に2回開催する予定です。

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