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事例

広島県における広域連携型SIB及びクラウドファンディングを活用した大腸がん検診受診勧奨事業
概要

広島県および県内の6つの市では、大腸がん検診の受診を促進し、検診の受診率改善を通じた早期のがん発見、さらにはがんの死亡者数の減少を目指する観点から、協力してソーシャル・インパクト・ボンド(SIB)を活用した「大腸がん検診受診勧奨事業」に取り組みました。
実施にあたっては、民間事業者との間で成果連動型委託契約を結び、民間の投資家からの資金調達を実施しました。

【事例の概要】

概要
スキーム

本件は、経済産業省の2017年度健康寿命延伸産業創出推進事業の一環として行われました。
広島県及び県内6市は、早期のがん発見による住民のがん死亡者数の減少およびQOLの向上に向けて、「大腸がん検診受診勧奨事業」に取り組みました。
実施にあたっては、民間事業者である株式会社キャンサースキャンとの間で、成果連動型委託契約を結びました。キャンサースキャンは、対象となる住民に対して受診勧奨を行います。広島県は、キャンサースキャンに対して、成果に応じた支払いを行います。6市については、計388万円を成果指標の達成状況に関わらず支払います。本件における成果指標は、「大腸がん検診受診者数」と「精密検査受診率」です。
本件の資金提供者は、一般財団法人社会的投資推進財団(以下、SIIF*と広島銀行、みずほ銀行、個人投資家です。個人投資家は、ミュージックセキュリティーズ株式会社が運営する「セキュリテ」を通じて募集を行いました。

*現在は、社会変革推進財団(Social Innovation and Investment Foundation)に名称を変更。

 また本案件の評価・財務モデルの全体設計と調整・コーディネートは、ケイスリー株式会社が行っています。

【事業の実施体制】

スキーム
注目すべきポイントと示唆
  • 1)個人投資家への投資機会の提供

本事例では、ミュージックセキュリティーズが運営する「セキュリテ」を通じて、個人投資家から広く資金を募りました。
「セキュリテ」では、投資型クラウドファンディングの形式により数万円から投資が可能で、本件では個人投資家から総額で1208万円を集めました。
投資家の募集にあたっては、SIBの意義や仕組みを解説するページが設けられました。また最劣後の部分をSIIFが担うと共に、事業者の自己資金による資金調達も組み合わせ、成果達成に向けた事業者のインセンティブが働きやすい形式を採りました。これらの取組みは、個人投資家における情報の非対称性を抑制し、過大なリスクを負うことを防ぐ工夫であると言えます。

  • 2)広域連携型のSIBの実現

SIBの組成には、成果評価や資金調達に関するコストが発生します。実施にあたってはそのコストを吸収できる事業規模が求められるため、人口規模の小さな自治体や小規模な事業では導入のハードルが上がりかねません。
本事例では、連携した6市のうち、竹原市・庄原市・府中市の人口規模は23万人程度と、決して大きくはありません。しかし広島県および県内6つの市が連携することで、案件ごとに発生する共通的な業務を集約し、中間的なコストを低減させました。この結果、相対的に人口規模が小さな自治体であっても、SIBを活用した事業に参画することができました。

  • 3)他地域での先行例を参考とした展開

本案件は、八王子市が2018年に実施した「大腸がん検診受診率・精密検査受診率向上事業」を参考に組成されました。事業モデルや評価設計・実施、財務モデル等について、先行例を基に設計することで、よりスムーズな事業展開が可能となったと言えます。

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