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事例

JICAによる五常・アンド・カンパニーへの出資
概要

独立行政法人国際協力機構(JICA)は、政府開発援助(ODA)の実施機関です。開発途上地域等の経済・社会の開発、復興・経済の安定への寄与を通じて、日本および国際経済社会の健全な発展を支えています。

五常・アンド・カンパニー株式会社は、開発途上地域での金融サービス提供を目指し、マイクロファイナンスを中心とする金融事業を行っています。

2019年にJICAは、開発途上地域における低所得者層の金融アクセスの改善、生活水準の向上、女性のエンパワーメントの促進を目指し、五常・アンド・カンパニー株式会社に対して10億円の出資を行いました。

五常・アンド・カンパニーは、本件も含めた資金調達によって、事業を展開する複数の開発途上地域におけるマイクロファイナンス事業を強化しました。

【事例の概要】

概要
スキーム

五常・アンド・カンパニー株式会社は、カンボジア・スリランカ・ミャンマー・インドの4ヶ国・7つの現地子会社・関連会社を通じてマイクロファイナンス事業を実施しています(2020年10月時点)。

本事例では、JICAは海外投融資のスキームを活用して、五常・アンド・カンパニー株式会社に対して出資を行いました。またJICAのほか、第一生命保険株式会社、ジャフコグループ株式会社等、複数の機関が出資を行っています。

【ステークホルダー】

スキーム
  • 1)SDGs達成に向けた貢献

SDGsでは、「ゴール1:貧困をなくそう」の達成に向けて「マイクロファイナンスを含む金融サービスの確保」が、また、「ゴール8: 働きがいも経済成長も」の達成に向けて「金融サービスへのアクセスの改善」がターゲットとして掲げられています。
開発途上地域においては、金融アクセスの改善は大きな課題です。また、ジェンダー格差の大きな開発途上地域では、金融機関に口座を有さない成人の半数以上が女性であるという現実があります。

JICAでは、開発途上地域における金融アクセス改善・女性エンパワーメント促進を積極的に支援しています。五常・アンド・カンパニーの顧客は女性が99%を占めていることから(2020年10月時点)、本件には、金融アクセスと女性のエンパワーメント向上の双方の観点から積極的な意義があると考えられます。

なお、本事例では、審査の際に顧客の女性比率や金融アクセスの改善人数といった定量的な目標を設定し、投資判断が行われました。また、同指標は、継続的なモニタリングにおいても活かされています。

2)ネガティブ・インパクトを抑える取り組みを評価

五常・アンド・カンパニーでは、マイクロファイナンス事業を通じて多重債務問題が発生しないよう、融資審査の際に対策を行うと共に、借入人の金融リテラシー向上に向けた取り組みも行っています。またグループガバナンスポリシーを作成しているほか、全てのグループ会社が可及的速やかに顧客保護原則(Client Protection Principles)の認証を取得するように指導しています。さらには専属のソーシャル・パフォーマンス・マネージャーを配置し、顧客の生活の変化を捉えるインパクト測定に取り組んでいます。

これらの取組みは、マイクロファイナンス事業によって生まれ得るネガティブ・インパクトを、ポリシーの策定や体制・制度の整備により最小限に抑えようとする試みだと言えます。

本事例では、こうした五常・アンド・カンパニー株式会社の取り組みを積極的に評価した上で投資判断が行われており、事業が生み出すポジティブなインパクトのみならず、ネガティブなインパクトの抑制に向けた取り組みを定性的に確認し、投資判断に活かした事例だと言えます。

3)民間投資の還流に向けた刺激

本事例は、日本において政府開発援助を包括的に担うJICAが、インパクト投資に積極的な参画を行った事例の一つです。JICAは過去にも「貧困層向けマイクロファイナンス事業」や「日本ASEAN女性エンパワーメントファンド」への出資などを通して、民間企業の先駆的な取り組みを支援しています。SDGsの達成に向けて、国際機関や開発援助機関においては、インパクト投資の促進に向けた取り組みが加速しているところであり、JICAによる市場参入は、民間投資のさらなる還流を刺激する呼び水としても、示唆深い取り組みだと言えます。

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