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事例

日本ベンチャー・フィランソロピー基金によるAsMama向け投資
概要

JVPFは、一般社団法人ソーシャル・インベストメント・パートナーズ(Social Investment PartnersSIP)と公益財団法人日本財団が共同で設立・運営する基金です。原資は寄付で構成され、その総額は20203月時点で89千万円です。

JVPFは、中長期の資金提供と経営支援を通じた社会的事業の成長支援を行っています。株式会社AsMama(アズママ)は、JVPFとしては3件目の支援事例であり、2015年から2019年の4年間に亘り、経営面・資金面の双方から支援を行いました。


【事例の概要】

概要
スキーム

AsMamaは、人と人、人と地域がつながることで、頼りあい、助け合える社会をつくることを目指した事業を行うソーシャルベンチャーです。

主にはITを活用した地域での子育てシェアのインフラ提供や、地域交流イベントを通じた子育てシェアの普及、自治体や企業とタイアップした取り組み等を行っています。

JVPFでは、創業から5年を迎えていたAsMamaに対し、経営基盤の強化に向けた支援と、資金面での支援を行いました。

資金支援の総額は3,000万円で、提供に際しては無担保転換社債型新株予約券付社債の形式が採られました。償還期限は20188月末(後に20198月末に変更)で、支援期間中には、SIPおよびSIPが連携するプロボノパートナー企業からの支援が行われました。

 
【資金支援の概要および支援条件】
スキーム
注目すべきポイントと示唆
  • 1)無担保転換社債型新株予約権付社債を利用した資金提供

本事例では、転換社債型新株予約権付社債(Convertible BondCB)を活用した資金提供が行われました。

転換社債型新株予約権付社債は、普通社債とは異なり、社債を事前に決められた転換価額で株式に転換することができる点に特徴があります。しかし本案件では、支援先がアーリーステージの企業であることから、支援開始時に株価評価は行わず、将来時価がついた際に、将来の時価に応じて転換価格を決定する転換価格変動型の社債とされました。

支援時点で株価評価を行わないことから、仮に支援後にエクイティ・ファイナンスによる資金調達を企図した際にも影響を与えることが無く、事業者であるAsMama側の経営の自由度が確保できる点がメリットといえます。

また、社債による資金提供であることから、会社が収益モデルを作り上げることができれば、仮に株式に転換されない場合においても社債として元本を償還することができるため、財務的リターンを確保することが可能です。

  • 2)ミッションロックの確保

CBの活用にあたり、JVPFでは償還条項に「ミッションロック」を付記しました。ここでいうミッションロックとは、投資先の企業・および支援対象となる事業が掲げる社会性を、事業の成長・拡大に関わらず維持・継続するよう求めることを指します。

ベンチャー・フィランソロピーであるJVPFは、社会的事業の育成・支援によって、日本社会が抱える社会的課題の解決を目指す基金です。一般的なベンチャーキャピタルとは異なり、財務的な利益よりも、社会課題の解決を第一義的な目的としています。そこで、JVPFは、投資の実行にあたりAsMama側に、「社会的ミッションの継続」を条件として求めました。これによって、事業者が事業拡大や利潤追求により本来掲げていた社会的ミッション、すなわち「頼りあえるコミュニティづくり」や「共助型社会の実現」といった目的から逸脱した場合に、支援を撤回し投資を引き上げることが可能となります。

  • 3)伴走による投資先の成長支援

JVPFAsMamaに対して、①コアバリューの見直し、②組織基盤の強化、③事業戦略の再設計、という3つの観点からの経営支援を行いました。こうした支援はJVPFの運営組織の一つであるSIPによって担われました。またより専門的な支援については、同基金のプロボノパートナーであるベイン・アンド・カンパニー株式会社やクリフォードチャンス法律事務所に在籍する社員によって行われました。

SIPには、ベンチャーキャピタルやプライベート・エクイティに在籍するメンバーが参加しており、こうした知見とネットワークを持つ人材が投資先に伴走することで、経営支援がより効果的に行われたと言えます。

  • 4)償還と寄付による資金循環

AsMamaは支援開始から4年後の2019年8月、支援の終了と同時に全額を償還しました。償還された3000万円は、再度基金に繰り入れられ、社会的事業への次なる投資・助成に活用されます。この意味で、JVPFにとってAsMamaへの支援は、“共助社会の担い手とインフラをつくる”という社会的リターンを拡大させると共に、投資資金を回収し、財務的リターンも両立させた事例だったと言えます。

またAsMamaは、これに加えてJVPFに対して自発的な寄付を行いました。事業が成長し、経営が安定したAsMamaは、自らも後続の社会起業家を応援したいという思いで、当初の想定にはなかった「寄付」という形での貢献を行ったのです。このことは、ソーシャルベンチャーであるAsMamaに対して投じられた3000万円が回収されただけではなく、プラスアルファの資金を生み、さらなる投資や助成に向けた資金として、活用が可能となったことを意味しています。

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