最新情報
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GSG Impact JAPAN(旧称・GSG国内諮問委員会)と一般財団法人 社会変革推進財団が共催する「インパクト測定・マネジメント(IMM)とインパクト指標を題材とした投資家とインパクト企業との対話・議論ワークショップ第3弾」(以下、「本ワークショップ」。事務局:社会変革推進財団(SIIF))を2025年12月に開催しました。
GSG Impact JAPANでは2023年7月にインパクトIPOワーキンググループ会合を組成し、2024年5月にインパクト企業が活用できるガイダンスをとりまとめ、関係者とともに対話を重ねていくことの重要性を提唱しました。
このガイダンスに沿って、インパクト企業がインパクト投資家や専門家と対話・議論を行い、インパクト企業が上場時・上場後に直面するリアルな課題を浮かび上がらせ、今後のガイダンスの改良に反映させることを目的に、これまでワークショップを開催してきました。
第1弾開催結果プレスリリース:
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000005.000063932.html
第2弾開催結果プレスリリース:
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000006.000063932.html
そして、今回は第3弾として下記の要領で開催いたしました。
●開催日時:2025年12月15日(月) 9:00-13:00 (オンラインにて開催)
●参加者:
<企業>
〇未上場企業 2社
・株式会社ベター・プレイス
・株式会社エンドファイト
〇上場企業 1社
・株式会社笑美面
<国内投資家・専門家 4名>
・伊井 哲朗 氏(コモンズ投信株式会社 代表取締役社長 兼 最高運用責任者)
・井浦 広樹 氏(りそなアセットマネジメント株式会社 株式運用部 チーフ・ファンド・マネージャー、責任投資部 チーフ・インパクトマネジメント・オフィサー)
・須藤 奈応 氏(Impact Frontiers ディレクター)
・芹沢 健自 氏(大和証券株式会社 サステナビリティ・ソリューション推進部 副部長)

ガイダンスにおいては、社会・環境課題の解決を自社の事業の機会として捉え、インパクトの創出を主たる目的として事業を設計するというインパクト企業の特徴を踏まえて、「収益創出だけでなくインパクト創出の視点も踏まえて設計されていることが望ましい。」と記載されています。
本ワークショップにおいても、投資家から企業に対して、インパクト視点で市場を捉えた質問がなされ、企業は改めて自社の市場の拡張可能性や将来性を認識したり再考する機会となりました。
●より長期の視点でのビジョン・アウトカムを言語化することが重要
●現状の延長線上でのインパクトの拡大だけでなく(ボトムアップ的)、国への提言などを通じたより社会構造レベルでの変革(トップダウン的)も視野に入れて、自社の将来性を考慮することが重要
また、自社の及ぼすインパクトを議論するに当たっては、専門家から、「時系列で分けて目指すべき理想の状態を考えると良い」とのアドバイスもあり、その際に、ツールとしてロジックモデルが有用であることも示されました。
ガイダンスにおいては、「収益に関する指標だけでなく、インパクトの創出についても指標が設計され、どちらか一方が優先されることがないような指標となっていることが望ましい。」と記載されています。
専門家や投資家からは、この観点に加えて、より具体的で実践的なKPI設計におけるアドバイスも共有されました。
●長期ビジョンの実現に向けて、時間軸を分けて各フェーズごとに達成したい状況を明確にした上で、インパクトの「広がり」と「深さ」の両方の観点からKPIを設定されることが望ましい
●ディープテックの場合は、従来のIMMとは異なり、自社の技術が及ぶ範囲だけでなく、インパクト創出までの担い手が誰かをクリアにした上で、それらが実現された際の超長期でのインパクトを検討されるケースが多い
●KPIとしては、インパクト創出だけでなく、事業成長のドライバーとなるような指標を設定することが重要
●現状のインパクト創出に対する評価としては、何かしらの国際的な基準や学術的な裏付けがあることが望ましい
ガイダンスにおいては、「通常の経営アジェンダに加えて、インパクトの創出に関しても重要な経営課題として議論され、設定された KPI を定期的にモニタリングし、その結果が意思決定プロセスに組み込まれていることが望ましい。また、KPI の定期的なモニタリングや経営意思決定プロセスへの組み込みにおいては、PDCA を定常的に運用できるような仕組みや体制が構築されていることが望ましい。」と記載されています。
一方で、参加企業の中でも、特にスタートアップの企業からは、
●インパクトの測定・マネジメントを行う経営リソースを確保が出来ない
●インパクトの測定・マネジメントが自己満足に陥っていないか、ただの事業の免罪符に陥らないか
などの事前質問が寄せられ、測定にかかるコストと得られるリターンのバランスについて、懸念が共有されました。
これについて本ワークショップにおいては、専門家・投資家から、以下のようなアドバイスがなされました。
●インパクトをアディショナルなコストとしてではなく、マーケティングコストと考えると、素直にかけるべきコストとして考えられる。受益者にとってのコスト削減やリターンを定量化することで、商品やサービスの採用判断につながり、それ自体がインパクト測定・マネジメントと同時にマーケティングになる
また、そのほかにも、IMMの実践に関して、
●精緻で教科書通りのIMMを実施するというよりも、自社の経営の意思決定のためにIMMを活用するのが良い。IMMの中でも使えるところを試しながら経営の根幹に含めていくのが良いのではないか。報告のためだけであればやらない方が良い
●インパクトの指標には答えがない。ロジックモデルの策定を通じて短期・中長期でのアウトカムを定義しながら、国際的なガイダンス(IRIS+)などを活用して進めるのが良い
●設定したKPIが他社に対するモート(持続的な競争優位性)になっていることが望ましい
●ロジックモデルや5Dを考えていた当時から前提・社会が変化していたり、社会課題の解像度がより上がることによりKPIが変わることもあるため、年に1回はKPIも見直すことが望ましい
といった、実践的なアドバイスが共有されました。
ガイダンスにおいては、「インパクト企業ならではの特徴を踏まえた上で、企業価値の評価における以下の2つの観点から示されることが望ましい。すなわち、 収益性・成長性の観点と、持続的な事業成長の蓋然性の観点。」と記載されています。
ワークショップにおいても、長期視点でみた際の収益性や成長性に関するコメントが共有されました。
●競争優位性について、一見経済合理性がないように見える活動や取り組みが、長期視点では新たな事業の種となったり、他者に対する参入障壁になりえることもある。これらはインパクト企業ならではの拡大可能性として示されることが望ましい
●業界が抱える課題の全体像、将来のマクロ的な人口動態の変化などを踏まえた長期での成長ストーリーを示せると良い
また、企業からは、以下のような悩みも共有された。
●対話においてインパクトに重きをおいて話すと「収益はどうなのか」となるし、収益の観点ばかりを話すと「インパクトは後付けなのでは」と捉えられるため、このバランスが難しい
ガイダンスにおいては、4つのステップを支える経営基盤として、「インパクト企業においては、インパクトの創出と収益の創出との相乗効果を図りながら持続的な企業成長を実現していくため、適切なリスクテイクを含めた経営の意思決定が行われることが望ましい。」と記載されています。
ワークショップにおいては、意思決定に影響を及ぼす主体として、投資家・株主との関わり方についても議論が及び、以下のようなアドバイスが共有されました。
●上場後は様々なステークホルダーの要請に応える必要があることから、インテンションを保ちながらPDCAを回していくためにもインパクト投資家はできるだけ早い段階から巻き込むことが望ましい
●インパクト投資家との対話の機会を増やしていくためには、現状の地道な活動を続けること、証券会社やセルサイドアナリストの活用、そしてサービス利用者やその家族を含めて株主を増やしていくアプローチが重要
事後アンケートのコメントの一部抜粋となります。
<企業>
●超長期の時間軸、国や社会のシステム変更も視野に入れたインパクトの検討・ロジックモデル作成が有効であること、また、対象にもたらすインパクトについて、深さの観点で解像度を高め、アウトカム指標を設定する余地があることなどの気づきを得ることができました。
●事前課題の回答内容において社内メンバー間で一部認識の違いがあることが分かりました。セオリーオブチェンジやロジックモデルを言語化していますが、一度策定して終わりではなく、継続的な目線合わせが不可欠であると改めて認識しました。
●KPIは「一度設定したら変えない」ことが必ずしも良いわけではなく、事業の進展や環境の変化に応じて1年に1回は見直すことが望ましいことは、大きな気づきでした
<投資家・専門家>
●自分にできることからという戦略の立て方よりも、インパクトはインテンションから逆算してロードマップを立てることが重要で、それを意識して定期的にアップデートしながら形にしていくと方向性、スピード感、巻き込み力等が増すと感じました。
●自社が対象としている社会課題が長期的にどのように変化していくのかについての説明が必要。IMMというのは、企業がもたらすインパクトを管理する意味で重要だが、インパクトを創出し続けられるかは社会課題ありきであり、社会課題の変化に対応していく必要がある。
●実際にガイダンスを活用した企業の実例を蓄積していくと、より後から参考にする企業は使いやすいのではないか。
●全体として、各社が自社の強みや市場機会を丁寧に説明されており、非常に有意義なセッションでした。その上で、次のような点がより明確になると良いと思います。
〇アウトカムの具体性とKPIの連結
〇相対的な評価と客観性
〇時間軸とフェーズの明確化
〇インパクトマネジメントの目的
今回に続き、第4弾のワークショップを開催致します。第4弾のワークショップでは、国内だけでなく海外の投資家を招き、グローバル展開を目指すインパクト企業との対話を行う予定です。
詳細はこちら↓
https://impactinvestment.jp/news/20251112.html
今後、実際にガイダンスを活用された事例が積み上がってきた時点で、過去に開催したワークショップも含めて得られたガイダンスの改善点も踏まえて、さらにガイダンスをブラッシュアップすることも検討していく予定です。
なお、今後の活動については、本ウェブサイト上でも発信をしてまいりますので、是非ご参照ください。
ガイダンスを参照した実践事例の積み上げが、ガイダンスの進化とインパクト企業の価値向上への貢献に繋がります。本プロジェクトにご関心のある以下の方々は下記問い合わせまでご連絡ください。ガイダンス活用のご相談、投資家と企業が対話する機会をご提供します。
●インパクトIPOを検討中の未上場企業
●インパクトIPO後の投資家との対話や情報開示に悩む上場企業
●インパクトIPOを検討中の企業への投資を検討したい投資家
●インパクトIPOに関する知見を共同開発し、普及したい専門家
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【共催】GSG Impact JAPAN National Partner(旧・GSG国内諮問委員会)/一般財団法人 社会変革推進財団(SIIF)
【事務局】一般財団法人 社会変革推進財団(SIIF)インパクト・エコノミー・ラボ 菅野・塚越・飯田
E-mail: lab@siif.or.jp
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