次に新経済連盟から活動内容の説明がなされ、自民党政策調査会・公益法人NPO等特別委員会に対して「ベンチャー・フィランソロピーと社会的インパクト投資に関する提言」を提出するなど、民間から行政への積極的な働きかけが報告されました。また、非営利セクターでの資金運用面で壁となる収支相償原則について活発な議論がなされました。
それから、7つの提言のうち①休眠預金活用、②ソーシャルインパクトボンドの推進、③社会的インパクト評価推進、④社会性認証制度の検討、の4つについて最新状況の報告と議論がなされました。
- 休眠預金については鵜尾委員より説明がなされ、「休眠預金活用法案」が継続審議となっているが次の国会で成立を目指し、社会課題解決に対して柔軟にチャレンジができる活動を行える制度にしたいと報告がなされました。
- ソーシャルインパクトボンド(SIB)の推進に関する最新状況について日本財団の藤田より説明がなされました。第8回経済財政諮問会議にて塩崎厚生労働大臣がSIBを活用したモデル事業の実施・検討について明言されていること、いくつかの自治体が2017年度の導入を検討していること、また、現行のパイロット事業の結果について報告がなされました。
- 社会的インパクト評価については、日本ファンドレイジング協会事務局長の鴨崎貴泰氏から社会的インパクト評価イニシアチブのホームページにて今年6月に公表した「社会的インパクト評価のマニュアル」と「分野別ツールセット」を中心に発表がありました。現在、マニュアルのダウンロード数は約240件、外部活用では、トヨタ財団の国内助成プログラム、内閣府の評価研修、滋賀県高島市のワークショップの参考資料に使用されています。NPOはもちろん企業の社会貢献活動を行っている方たちにも使用していただき、インパクトを可視化することで社会的インパクト投資の推進を高めていきます。
- 経済産業省経済産業政策局の津田麻紀子氏から、「地域を支えるサービス事業主体のあり方に関する研究会」の報告書を基に、社会性認証制度に関連して経済性及び社会性を追求する事業主体のあり方に関する検討状況について発表があり、こうした事業主体について、現行の株式会社をベースとしてどのような制度設計が可能か検討していくとの説明がありました。
国内諮問委員会としても政府への働きかけだけではなく、アメリカのBcorp認証(米国のNPO法人B Labが実施する社会的責任を果たす企業を認証する制度)のように民間の取組みの支援も模索していきます。また、この話題に関連して日本で初のBcorp認証を取得した群馬県のシルクウェーブと神奈川県の石井造園ついて紹介がありました。
最後にケイスリー株式会社代表取締役の幸地正樹氏より国内諮問委員会で作成中の社会的インパクト投資現状レポートについて報告がなされ、国内の市場規模を測る上でも重要な社会的インパクト投資の定義について活発な議論がありました。今後、GSG主要国の判断基準を参考にしながら日本国内の状況を踏まえた細かな定義づけをし、レポートを作成します。