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次に国際協力機構(以下、JICA)のマイクロファイナンスファンドについてJICAの民間連携事業部海外投融資課長の府川賢祐氏から発表がありました。民間企業が実施する開発効果が高い事業を支援していく海外投融資では①インフラ・成長加速、②SDGs・貧困削減、③気候変動対策の3つのターゲットを定めており、2011年から現在まで14件の出融資を行っています。今年の9月にBlueOrchard(スイス)が運営するファンド「JAPAN ASEAN Women Empowerment Fund 」にJICAと国際協力銀行(JBIC)が出資を行うことを発表しました。これはJICAやJBICがアンカー投資家となり、民間の機関投資家に参入を促し、基金はASEAN諸国を中心としたマイクロファイナンス機関に融資や投資、場合によってはメザニンファイナンスを行ことで同地域における女性のエンパワーメントに寄与する狙いがあります。
続いて上智大学の資産運用について上智大学特任教授兼上智学院 財務担当理事補佐IR推進室長の引間雅史氏から発表されました。日本の私立大は財務状況の悪化が進んでいることから、上智大学では自助努力として資産運用に力を入れています。資産運用で奨学金を賄う等、投資のインパクトと大学としてのインパクトのシナジーが強いことから、運用方法について活発に質問が上がりました。まだ日本では上智大学しか国連責任投資原則(PRI)に署名されていませんが、今後、日本の大学が社会的インパクト投資の担い手として可能性を感じられる事案として国内での展開が期待されます。
それから、7つの提言のうち①休眠預金活用、②ソーシャルインパクトボンドの推進、③社会的インパクト評価推進、④社会性認証制度の検討、の4つについて最新状況の報告と議論がなされました。
最後に、社会的インパクト投資現状レポートについて引き続きケイスリー株式会社代表取締役の幸地正樹氏より説明がありました。2016年9月29日に「社会的インパクト投資現状レポート2016」が公開されました。市場規模は、2014年の約169億円から2016年は約337億円と約2倍の成長が見られ、この主な成長理由は日本政策金融公庫のNPO向け融資112.4億円などをはじめとした既存案件がそれぞれ5億円以上成長していることや、新規で投融資を開始した案件が4件あることが上げられます。(社会的インパクト投資現状レポート2016 P38参照)
会合終了後は、会場内にて懇親会も開催され、懇親会の席では、参加者同士の活発な交流も行われ、盛会のうちに終了しました。2017年度も国内諮問委員会の会合は年に2回開催する予定です。