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2022年6月14日に国内諮問委員会第二十回会合が開催されました
開催レポート GSG-NAB会合

世界においてインパクト投資を推進するグローバルネットワークであるThe Global Steering Group for Impact Investment(GSG)の国内諮問委員会の第20回会合が、6月14日(火)に開催されました。

報告1 インパクト投資に関連した国内の主な動き

事務局のSIIFインパクト・エコノミー・ラボ インパクト・カタリストの戸田満より、本年4月26日にGSG国内諮問委員会の監督の下、SIIFが発行した「日本におけるインパクト投資の現状と課題2021年度」調査報告書の概要、及び、国内動向のまとめについて紹介がありました。
まず、日本におけるインパクト投資残高(2021年度調査)が1兆3,024億円と、前年度の5,126憶円から2.5倍に増えたこと、残高が増加した主な要因の紹介がありました。
続いて、インパクト投資をめぐる国内の主な動向について触れ、政府の動きとして、本年6月7日に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」の中で、社会課題の解決に向けて、従来の「リスク」、「リターン」に加えて「インパクト」を測定し、「課題解決」を資本主義におけるもう一つの評価尺度としていくことが盛り込まれたこと、また、民間の動きとして、インパクト志向金融宣言の発足(2021年11月)、日本経済団体連合会による「インパクト指標 開示項目」の公表(2022年6月)などが紹介されました。
最後に、インパクト投資を推進するための今後の課題として、インパクト・リターンの正の相関の好事例の蓄積と市場関係者への情報発信、投資可能な案件の増加、IMMの精緻化と実装、サステナビリティ情報の開示・報告ルールの確立などが挙げられました。

※「日本におけるインパクト投資の現状と課題2021年度」については、こちらをご覧ください。

報告2 GSG Leadership MeetingとG7へ向けて

事務局のSIIFのインパクト・エコノミー・ラボ所長の菅野文美より、本年5月23日~25日にかけてイタリアで開催された、GSG Leadership Meetingでの主な議論の内容が紹介されました。主な点としては、年金基金によるインパクト投資の取り組みが増えていることが各国より共有されたこと、より幅広い個人が参加可能なインパクト投資を探求すべきであり、そのためのコミュニケーション戦略の重要性が議論されたこと、金融機関によるインパクト投資への取り組みが増加していることを踏まえ、インパクト情報を含む情報開示基準や収集したインパクト情報の評価など、グローバルなルール作り・標準化についての議論がなされたことが挙げられました。
次に、特定非営利活動法人日本ファンドレイジング協会代表理事兼GSG国内諮問委員会副委員長の鵜尾雅隆氏より、世界的なインパクト投資のムーブメントを促進するため、また、政府の骨太の方針に盛り込まれた「社会的インパクト投資の推進、共助社会づくり」の実現のため、そして、2023年に日本が主催をするG7に向けて、GSG国内諮問委員会として、日本における政策等のアクションへのつなぎ方の戦略的検討を行っていることが紹介され、国内諮問委員会メンバーに協力の呼びかけがありました。

報告3 最近の動きについてメンバーから紹介

まず、第一生命保険株式会社の銭谷美幸氏より、同氏が座長を務めた経団連金融・資本市場委員会建設的対話促進ワーキンググループがとりまとめ、本年6月14日に経団連より発表された報告書、「“インパクト指標”を活用し、パーパス起点の対話を促進する~企業と投資家によるサステイナブルな資本主義の実践~」について紹介がありました。同報告書は、経団連が目指すSociety5.0の実現を通じたサステイナブルな資本主義の実践のため、企業と投資家のインパクト指標を活用した対話を促進することを主眼として作成されたことなどが紹介されました。

※「“インパクト指標”を活用し、パーパス起点の対話を促進する~企業と投資家によるサステイナブルな資本主義の実践~」は、こちらをご覧ください。

次に、独立行政法人国際協力機構の武藤めぐみ氏より、同氏が委員を務める、環境省の炭素中立型経済社会変革小委員会において、炭素中立型の経済社会に向けた変革を成し遂げるためには、エネルギー供給構造の変革を中心としつつも、産業構造、国民の暮らし、地域の在り方全般にわたる需要側の取り組みが必要との議論になっており、先般の中間報告ののち今後議論が続く予定であること、また、環境省が脱炭素事業に取り組む民間事業者を支援するための、官民ファンドの設立を準備していることについて情報共有がありました。さらに、気候変動対策に関して途上国から先進国への期待がより一層強くなっており、今後の国際場裏においても議論になると予想される旨の共有がありました。

※「炭素中立型経済社会変革小委員会」での検討内容については、こちらをご覧ください。

続いて、株式会社Zebras and Companyの田淵良敬氏より、同氏が、米国でゼブラ企業を支援するグローバルな潮流作りをしているゼブラズ・ユナイトのボードメンバーに就任したこと、株式会社Zebras and Companyの個別投資先の紹介、また、ゼブラ投資やインパクト投資を始める投資家に対して、TOCや投資哲学、投資戦略作成の支援を行う事業も開始したとのお話がありました。
最後に、りそなアセットマネジメント株式会社の松原稔氏より、2021年6月に設定した「日本株式インパクト投資ファンド」の初めてのインパクトレポートを、本年6月に発行した旨の紹介がありました。

※「『日本株式インパクト投資ファンド』インパクトレポート」は、こちらをご覧ください。

議論: 今後のGSG国内諮問委員会の在り方について

今後のGSG国内諮問委員会の在り方として、小宮山委員長より、インパクト投資が目指す最終的なアウトカムは、地球と人間のサステナビリティであり、サステナビリティに資する事業をしようとすると資金が必要になるため、そのような事業に効率的に資金を振り向ける方策を、金融の専門家が考えて行くべきではないかとのお話がありました。
その後、インパクト投資を取り巻く昨今の環境を踏まえ、これから本委員会が果たすべき役割や行っていくべき活動について、参加者間で活発な議論が行われました。

次回の開催は、2022年11月を予定しています。

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