1.報告事項
報告1 GSG Global Impact Summit 2023/GIIN Impact Forusmへの参加結果の報告
末吉委員
GSG Global Impact Summit 2023の参加結果
- 世界60か国から、1,000名超の参加者が集まり、各国のNABメンバーのリユニオンが行われました。
NABの新設状況に関する報告等もあり、エネルギッシュな印象を受けました。新設されたNABの内、2つはスリランカとマレーシアというアジアの2ヶ国であり、アジア内のインパクト投資の活発な状況を感じました。
- NABで議論されたテーマは主に3つあり、1つ目は必要な領域への資産投資、2つ目はインパクト測定における透明性の確保、3つ目はインパクトエコノミーの実現方法についてでした。現地ではアジアパシフィックのセッションもあり、同セッションでは日本から渋澤委員にご登壇いただき、日本のNABの状況や今年度のG7で日本から提言した「Triple I for Global Health」をはじめとする我が国のインパクトに係る取り組み状況を共有いただきました。
GIIN Impact Forumの参加結果
- GSGは各国のエコシステム構築を軸としている点が特徴である、一方で、GIINはよりビジネスとしてのインパクト投資拡大の色が濃い印象がありました。最終的には1600~1700名程度の人が集い、その中で、日本からは約25名の民間企業等担当者が参加されておりました。
- 今回は、ESGのS(社会)に加えて、E(環境)もしっかりと議論されており、通常の金融機関が取り扱えるサステナブルファイナンスの一分野としてインパクト投資が、確りと位置づけられ始めているように感じられた。また、議論の中心がインパクト投資の実践におけるより具体の課題(Investor Contirbutionなど)に移っている印象を持ちました。
報告2 インパクトIPO WGの共有と今後の展開 黄委員(インパクトIPO WG副座長)
- 前回6月のGSGNABに報告した通り、7月に計26名の委員でWGを組成し(経産省、金融庁、環境庁、東証の担当者もオブザーバー参加)計5回の会合を実施しました。
- WGでの議論を踏まえ、事務局でガイダンスの素案を纏めました。ガイダンスの目的は、インパクト企業が未上場の段階から、上場を経て、上場後もインパクトを創出しながら持続的な企業価値向上を実現できるよう、インパクト企業と投資家をはじめとする資本市場の関係者との間において、情報開示等を通じて共通認識を醸成し、建設的な対話を促すことです。対象とするインパクト企業は、以下の3つの意図を持ち、それらの相乗効果を図りながら持続的な成長を実現する意図を持つ企業です(ポジティブ・フィードバック・ループ)。
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①インパクトの創出
②収益の創出
③資本市場を活用し、投資家との建設的な対話を通じた企業価値の持続的な向上
本ガイダンスは、インパクト企業による、上場前から上場後の一連の過程における望ましい取り組みを提示し、インパクト企業を格付けるものではないものの、透明性を担保するべく、インパクト企業がガイダンスを参照した場合は、開示文書などにおいて、参照元として本ガイダンスを明記することを推奨します。
また、本ガイダンスは近日中に初期バージョンの最終案を日本語(英訳予定)で作成します。また、今後は多様な関係者から意見を募り、ガイダンスを最終化する予定です。
報告3.金融庁・GSG国内諮問委員会共催「インパクト投資に関する勉強会」の実施結果及び「デットにおけるインパクトファイナンスの考え方とインパクト測定・マネジメントガイダンス」のとりまとめ結果に関する報告
一般財団法人社会変革推進財団(SIIF)インパクト・オフィサー小笠原(GSG国内諮問委員会事務局)
- 「デットにおけるインパクトファイナンスの考え方とインパクト測定・マネジメントガイダンス」について、金融庁・GSG国内諮問委員会共催「インパクト投資に関する勉強会」傘下にデットガイダンスを作成する分科会を組成しました。執筆には多くの関係者にご協力いただきました。コレクティブな状態でガイダンスを作成するプロセスにおいては、議論の深化やコミュニティの強化といった成果も見られ、非常に有意義な機会となりました。ガイダンスは、今後必要に応じてアップデートをしていきます。
- 「インパクト投資に関する勉強会」について、フェーズ1は、2020年から開始され、基礎編から実施してまいりました。「インパクト評価」という用語から、「IMM(インパクトマネジメント評価)」という用語にアップデートするきっかけになるなど、プラットフォームとしての第一歩となる議論がなされました。フェーズ2は、2022年3月から開始され、合計6回(番外的に2回実施。計8回)に分けて実施してまいりました。今後も勉強会が拡大されるような形で、金融庁のインパクトコンソーシアムに議論が引き継がれていくことを願っています。
報告4.GSG国内諮問委員会2.0戦略ペーパーの更新点の検討状況に関する報告
一般財団法人社会変革推進財団(SIIF)インパクト・エコノミー・ラボ副所長 戸田(GSG国内諮問委員会事務局)
- GSGのコアバリューについて、昨年の12月から議論し、前回の会合で承認いただいた戦略ペーパーの具体化を検討してまいりました。
- 具体化に向けたコアチームでの議論では、過去10年の実績を通じ、NABはインパクトの取組を促すエコトーンとして役割を担うとし、Theory of influenceは何かを整理しました。
- 今後、NABはインパクトエコノミーを推進するための操舵官の役割を担い、インパクト投資からインパクトエコノミーの議論にトランジションできるよう、メンバーや法人サポーター等の巻き込みを含めて検討を深めてまいります。
以上