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日本のインパクト企業とのインパクト測定・マネジメント(IMM)に関する対話・ワークショップ第4弾を開催
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GSG Impact JAPAN(旧称・GSG国内諮問委員会)と一般財団法人 社会変革推進財団が共催する「インパクト測定・マネジメント(IMM)とインパクト指標を題材とした投資家とインパクト企業との対話・議論ワークショップ第4弾」(以下、「本ワークショップ」。事務局:社会変革推進財団(SIIF))を2026年2月に開催しました。

1.本ワークショップ開催の概要

GSG Impact JAPANでは2023年7月にインパクトIPOワーキンググループ会合を組成し、2024年5月にインパクト企業が活用できるガイダンスをとりまとめ、関係者とともに対話を重ねていくことの重要性を提唱しました。
このガイダンスに沿って、インパクト企業がインパクト投資家や専門家と対話・議論を行い、インパクト企業が上場時・上場後に直面するリアルな課題を浮かび上がらせ、今後のガイダンスの改良に反映させることを目的に、これまでワークショップを開催してきました。

第1弾開催結果プレスリリース:
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000005.000063932.html

第2弾開催結果プレスリリース:
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000006.000063932.html

第3弾開催報告:
https://impactinvestment.jp/news/20260119.html

そして、今回は第4弾として下記の要領で開催いたしました。

●開催日時:
Day1:2026年2月9日(月)、2月10日(火) 16:00-18:00(オンラインにて開催)
Day2:2026年2月19日(月) 16:00-18:00 (オンラインにて開催)

●参加者:
<
企業>
〇未上場企業    3社
 ・株式会社ヘラルボニー
 ・株式会社ファーメンステーション
 ・五常・アンド・カンパニー株式会社
〇上場企業 1社
 ・日本電気株式会社(NEC)
<国内外投資家・専門家 4名>
 ・Apricot Wilson/Baillie Gifford & Co.
 ・Henk Jonker/Triodos Investment Management
 ・坂本 一太 氏 / カディラキャピタルマネジメント株式会社 代表取締役社長
 ・高橋 照典 氏 / 三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社 投資銀行本部 スタートアップ・アクセラレーション部長

本記事では、本ワークショップにおける投資家・専門家、インパクト企業のそれぞれの具体的なコメントを紹介しながら、ガイダンスで示した「ポジティブ・フィードバックループを加速させるための4ステップ」(下図参照)に沿って学びや気づきをまとめています。

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2.本ワークショップを通じて得られた学び

ステップ1:戦略策定

ガイダンスにおいては、社会・環境課題の解決を自社の事業の機会として捉え、インパクトの創出を主たる目的として事業を設計するというインパクト企業の特徴を踏まえて、「収益創出だけでなくインパクト創出の視点も踏まえて設計されていることが望ましい。」と記載されています。
本ワークショップにおいても、投資家から企業に対して、インパクト視点で市場を捉えた質問や、逆に市場の観点からインパクト創出の確からしさを確認される質問がなされました。

  • <主なFindings>
     ビジョンで表現されている世界とは、具体的にどのような世界か、より解像度を高めるべき
     受益者を明確化する際には、インクルーシブネスの観点から、対象となる受益者を狭めてしまう要素がないかも検討するべき(想定外の負のインパクト、および事業とミッションとのアライメントリスクとして重要)
      自社が全体のサプライチェーンやインベストメントチェーン(金融機関の場合)において、どのような役割を果たしどのようなインパクトを創出しているのかをシンプルにストーリーと指標で示せると良い
     大企業の中でインパクト創出のプロジェクトを行うケースにおいては、そのプロジェクトが企業全体の中でどのような役割を果たすべきかを明確にし、経営層がそれにコミットメントを示すことが重要
    また、ガイダンスの中でも示した価値創造の源泉として6つの資本については、Day2の振り返りセッションにおいて、改めてインパクト企業ならではの人的資本・社会関係資本・知的資本などの無形資産の強さが議論され、それらをいかに可視化/定量化してコミュニケーションできるかという観点も議論されました。

ステップ2:事業計画の策定/KPIの設定

ガイダンスにおいては、「収益に関する指標だけでなく、インパクトの創出についても指標が設計され、どちらか一方が優先されることがないような指標となっていることが望ましい。」と記載されています。
専門家や投資家からは、この観点に加えて、より具体的で実践的なKPI設計におけるアドバイスも共有されました。

  •  <主なFindings> 
      IMMの設計においては、ミッションとの一貫性、コアコンピタンスとの一貫性が重要
      複数の事業や複数のインパクト創出の可能性がある場合は、まずは自社のコアコンピテンスがあるからこそ生み出すインパクトにフォーカスを当てて設計・測定を行ってはどうか
      仮に事業がまだ小規模の段階においても、インパクトは早期に設計・測定されることが望ましい
      定量化が難しい抽象度の高いインパクトゴールに関しては、まずは定量化できる範囲の短期・中期のアウトカムに焦点を絞り戦略を具体化させていくと良いのではないか
      KPIの設計によって起業家精神が損なわれることがあってはならない

ステップ3:経営意思決定プロセスへの組み込み

ガイダンスにおいては、「通常の経営アジェンダに加えて、インパクトの創出に関しても重要な経営課題として議論され、設定された KPI を定期的にモニタリングし、その結果が意思決定プロセスに組み込まれていることが望ましい。また、KPI の定期的なモニタリングや経営意思決定プロセスへの組み込みにおいては、PDCA を定常的に運用できるような仕組みや体制が構築されていることが望ましい。」と記載されています。

主なFindingsは、上記の「ステップ2」と下記の「ガバナンス」の内容とも重複しますが、それらに加えて、専門家・投資家からは、以下のようなコメントも挙げられました。

  •  <主なFindings> 
      インパクト委員会やインパクトを管轄するエグゼクティブ層が、経営の意思決定機関において、一定の権限・役割を果たす設計になっていることが望ましい
      例:商品・サービス設計や品質管理において一定の権限を有する 
      
      例:M&Aなどにおける企業評価においてインパクトの観点から関与す

ステップ4:情報開示・対話

ガイダンスにおいては、「インパクト企業ならではの特徴を踏まえた上で、企業価値の評価における以下の2つの観点から示されることが望ましい。すなわち、 収益性・成長性の観点と、持続的な事業成長の蓋然性の観点。」と記載されています。

その上で、以下の点に考慮すると良いことが、投資家・専門家から示されました。

  •   <主なFindings>
      財務のKPIとインパクトのKPIは、統合的に報告する
      自社がサプライチェーンの中でもたらすインパクトについて、シンプルな指標とシンプルなストーリーで伝える
      上場前であっても、できるだけ早い段階からインパクト投資家と対話をすることが望ましい  

4ステップの土台となるガバナンス

ガイダンスにおいては、4つのステップを支える経営基盤として、「インパクト企業においては、インパクトの創出と収益の創出との相乗効果を図りながら持続的な企業成長を実現していくため、適切なリスクテイクを含めた経営の意思決定が行われることが望ましい。」と記載されています。

  • ワークショップにおいては、投資家や専門家から、
    経営陣はどの程度このインパクト創出にコミットしているのか
    経営陣の報酬とインパクト創出のKPIは連動しているのか
    インパクト委員会は経営の意思決定機関においてどの程度の効力を有しているのか

などの質問がなされ、経営陣の報酬とインパクトKPIとのコミットメントの連動の設計がなされているなど、経営陣のコミットメントが設計されていることが、成長の蓋然性の評価にもつながるとのコメントが挙げられました。

3.本ワークショップ参加者からのコメント

  • 事後アンケートのコメントの一部抜粋となります。
    <企業>
    事前課題に取り組む過程で、インパクトが競争力や財務にどうつながるか(因果関係)を、検証可能な形で説明する必要を強く認識しました。
    全体の振り返りを通じて、KPIは投資家のための報告物ではなく、経営陣の意思決定のための道具であるという点が最も大きな学びでした。
    財務指標以外に新しく社会的なインパクトを評価軸とすることの難しさがある一方で、そのなかでもインパクトレポート作成など先進的に取り組む企業に今後の進め方のヒントを得た。また、リソースや顧客基盤に富む大企業だからこそ作り出しうるインパクトの大きさに期待を寄せていただき、大きな励みになった。
    5 dimensions of Impactおよび6つの資本といったフレームワークを、単に頭で理解するだけでなく自社の事業に当てはめて考えるプロセス自体、新鮮で学びの多いものでした。
    自社のIRチームのメンバーにも参加してもらうことができたので、その内容を踏まえてIRとIMMの統合をさらに進めるための社内議論や、投資家向けピッチ資料の見直しを進めたいと思います。
    フレームワークにそった質問に回答することで、IMMについて基本的なところから
    理解をすることができた。社内でも経営メンバーおよびインパクト担当とも内容を共有、一緒に考えることで社内の理解やめざしたい姿の共有をするきっかけとなった。
    自社だけではなく他社の質疑や、投資家の方同士のやりとりも参考になった。
  • <投資家・専門家>
    グローバルな投資家と直接対話し、オープンに意見を交わし、真にダイナミックでリアルタイムな議論ができる貴重な機会だと思います。
    インパクト志向のアントレプレナーとして最前線で活躍するスタートアップリーダーから、誠実で生の声の洞察を直接聞くことができ、その学びを自分の所属するコミュニティに持ち帰ることができたのは貴重な機会でした。
    企業にとって、IMMの実践に関して同様の悩みを抱える他の企業の話を聞けることは非常に価値があると思います。また、実際のインパクト投資家から、投資判断の視点を学ぶことができます。
    投資家が実際にどのように物事を見ているか、実務でどのような質問をする可能性があるか、インパクトのナラティブを投資ケースに結びつけることの重要性も明確に示され、企業にとって重要な教訓になるはずです。
    内部と外部の認識にはギャップがあることが多々あります。また、外部投資家は日々多くの企業を見ています。そのため、国内外の類似企業に関する知識を持っており、他社で何がうまくいき、何が失敗したかについて企業に指針を示すことができます。

4.今後の展望や計画

今後、実際にガイダンスを活用された事例が積み上がってきた時点で、過去に開催したワークショップも含めて得られたガイダンスの改善点も踏まえて、さらにガイダンスをブラッシュアップすることを検討していく予定です。
なお、今後の活動については、本ウェブサイト上でも発信をしてまいりますので、是非ご参照ください。

5.ガイダンス活用の相談、取材対応などのご案内

ガイダンスを参照した実践事例の積み上げが、ガイダンスの進化とインパクト企業の価値向上への貢献に繋がります。本プロジェクトにご関心のある以下の方々は下記問い合わせまでご連絡ください。ガイダンス活用のご相談、投資家と企業が対話する機会をご提供します。
  インパクトIPOを検討中の未上場企業
  インパクトIPO後の投資家との対話や情報開示に悩む上場企業
  インパクトIPOを検討中の企業への投資を検討したい投資家

  インパクトIPOに関する知見を共同開発し、普及したい専門家

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【共催】GSG Impact JAPAN National Partner(旧・GSG国内諮問委員会)/一般財団法人 社会変革推進財団(SIIF)
【事務局】一般財団法人 社会変革推進財団(SIIF)インパクト・エコノミー・ラボ 菅野・塚越・飯田
 E-mail: lab@siif.or.jp
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