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インパクト投資家なら誰もが悩む!「インパクト評価・マネジメント」を、実践者・関心者が熱く議論:第三回インパクト投資オンラインセミナーを開催(10月21日)
開催レポート セミナー・イベント

10月21日(水)に開催された第三回インパクト投資オンラインセミナー「インパクト投資オンラインセミナー「グローバルのトップインパクト投資家の、インパクト評価・マネジメントの手法に迫る~欧米の最先端の事例を解説」では、スピーカーにGSG国内諮問委員会インパクト評価プロジェクトチームの須藤奈応氏、そしてモデレーターに一般財団法人社会変革推進財団常任理事の工藤七子氏をお迎えしました。

今回のセミナーは、米国のインパクト評価のネットワーク団体である「Impact Management Project(IMP)」の共催のもと、須藤氏が翻訳を担当された「Impact-Financial Integration: A Handbook for Investors 日本語版 概要」の内容をもとに実施されました。当日は、70名以上の参加者の内、銀行・証券・PE/VCファンド関係者や、アセットマネジャーなど金融関係者の参加者が半数以上を占め、本トピックに対する投資側からの注目度の高さが伺われました。

欧米のインパクトファンド・評価の最新動向をポイント解説

セミナー前半では、須藤氏が欧米のインパクトファンドの事例や、海外での評価の最新動向を解説しました。インパクト評価の目的は、「インパクト・ウォッシング」の防止であると語る須藤氏。インパクト評価は(経済的リターンを追求しながら)どのような課題の解決に貢献したいのか、どのようなインパクト指標を設定し管理するのか、そして評価プロセスの適切性・透明性をどのように確保するのかという、3つの問いに答えるものであると解説しました。

また、インパクト投資の関係機関のマッピング(関係図)や、IFC、Impact Management Project (IMP)、Global Impact Investing Netowork (GIIN)などの主要なインパクト評価指標の特徴のまとめを紹介しながら、欧米のインパクトファンド・評価の動向の鳥観図を解説。参加者からは「とてもわかりやすい」、「参考になった」、「理解が深まった」という多くの感想が寄せられました。

▶当日の資料(一部抜粋)は、こちらから。

また、欧米の最新事例として、30年以上インパクト投資に取り組む全米大学教職員保険年金基金の資産運用部門「Nuveen」や、リヒテンシュタインに本拠地をおくLGTグループのインパクト投資投資専門のVCチームである「LGT LightStone」をケースとして提示し、それらの戦略・ストラクチャリング・モニタリング・レポーティングやエグジットなどを解説しました。

会場からは、海外と比較した日本のインパクト投資やインパクト評価の進捗について質問が寄せられ、モデレーターの工藤氏は、「確かに海外の方がインパクト投資は進んでいるが、インパクト評価については、世界各地が模索している状況。日本の取り組みをインプットできるチャンスがある」と語り、日本のインパクト投資家の経験や実績をグローバルにインプットしていくことの重要性を語りました。

インパクト・財務評価の統合ハンドブックを解説!統合における主要プロセスを解説

後半のプレゼンテーションでは、欧米の代表的なインパクト投資家13社による「Impact Frontiers Collaboration」がインパクト・財務評価の統合についての議論を重ね、ベストプラクティスや事例をハンドブックとして公表した「Impact-Financial Integration: A Handbook for Investors」のポイントを解説しました。

▶ハンドブック概要(日本語版)はこちら :「Impact-Financial Integration: A Handbook for Investors 日本語版 概要

このハンドブックは、投資家が提起している主要課題に答える形で、インパクト・財務統合の要素や検討の4つのプロセスを提示しています。当日のプレゼンテーションでは、特に、案件のインパクトレーティングの作成と測定、そして、案件レベルの統合のプロセスについて重点的に解説しました。

▶当日の資料(一部抜粋)は、こちらから。

インパクトレーティング作成については、ひとつの解がなく、投資家が独自に策定することが推奨されていると語る須藤氏。インパクトレーティング策定時のポイントである、①インパクト要因やトピックの設定、②要因ごとの指標およびデータソースの設定、③要因ごとのウェイト値の設定などについて、事例をもとに解説しました。また、案件レベルでの財務・インパクトの統合の分析方法については、ハンドブックで採用されている、単純比較法・ベンチマーキング法・ハードルレート法について説明しました。

解のないインパクト評価に、企業・投資家はどのように向き合うか

セミナー終盤にて、「今までニッチだったインパクト投資の世界が急に広がりをみせており、大きな転換点を迎えている。これに伴い、インパクト評価に関するディスカッションも広がりを見せている。そのグローバルな協議の場に日本のプレイヤーが入っていくことが重要」と語る須藤氏。「本日紹介したプリンシプルはプリンシプルに過ぎない。最後は各社で判断していくしかない。フレームワークはあるが、各社のポリシーに合うものを使っていく・組み合わせて使っていくというスタンスが求められている」と参加者に呼びかけました。

モデレーターの工藤氏は、「社会的インパクトを実現するにあたり、企業・投資家が真剣に向き合うことが必要。ツールをただ使うのではなく、投資家として何を実現したいのかを向き合い、それを実践の場に落とし込んでいくことが重要」と語りました。

セミナー中に計2回実施されたブレイクアウトルームでは、参加者が小グループに分かれディスカッションを行いました。担当者同士の視点で、実務者ならではの議論や分かち合いができてとても盛り上がったとの感想が寄せられました。

参加者からの声
  • ・(インパクト評価の)スタンダード作りの過程に日本の事例を持ち込むことで、より日本でも使いやすい(フィージブルな)スタンダードになっていくと思うので、ファンドとしてそれも目指したい。
  • ・インパクトを考えることって、事業の競争優位性の源泉だと思う!
  • ・プリンシプルはプリンシプル。実際は各社で試行錯誤で考えてやっていく」というのは、痛感してます!
  • ・インパクト投資上の「本質的な」「実用性」について議論していく必要があると思います。
  • ・未上場と上場の連携、社会性と財務性の連携、などなど、個別性 vs 統合のせめぎ合いのシーンが多々見られる、今はそういう状況かもしれません

インパクト投資セミナーは、インパクト投資に関心のある方々や、インパクト投資を実践している方々が、オンラインプラットフォームを通じて国内外の最新の動向・手法・知見に触れる場を提供するための取り組みとして、GSG国内諮問委員会が本年7月より実施しています。

開催概要
日時 2020年10月21日(水) 18時~19時半 ZOOMにて開催
プログラム(予定) 18:00-18:05  ご挨拶
18:05-18:20 前編:欧米のインパクトファンド・評価の最新動
18:20-18:45 ブレークアウトセッション&シェアリング
18:45-19:00 後編:インパクト投資における財務評価とインパクト評価の統合(IMP)についてー欧米のトップインパクト投資家13機関によるワーキンググループの内容紹介
19:00-19:25 ブレークアウトセッション&シェアリング
19:25-19:30 クロージング
スピーカー GSG国内諮問委員会インパクト評価プロジェクトチーム 須藤 奈応
モデレーター 一般財団法人社会変革推進財団常任理事 工藤七子
参加費 無料
主催 GSG国内諮問委員会
協賛 一般財団法人社会変革推進財団(Supported by 日本財団)
共催 Impact Management Project

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